「事業用の車庫証明、バーチャルオフィスの住所でも取れるのかな…」
都内でデリバリー事業を始めようと決めた時、僕の頭にはずっとこの疑問がありました。
物理的なオフィスは要らない。でも軽バンは絶対に必要。初期費用はできるだけ抑えたい。そう考えると、バーチャルオフィスは都合のいい選択肢に見えました。
ただ、ネットで検索すると「取れる」「取れない」「警察署による」「担当者次第」と情報がバラバラで、正直どれを信じていいかわからなくなりました。
もしあなたも同じ状況なら、この記事は役に立つと思います。
これは、僕が準備不足で警察署に行って撃沈し、そこから調べ直して、2回目の申請でようやく車庫証明を取得できた記録です。
先に結論を言うと、バーチャルオフィスでも車庫証明は取れます。ただし、「住所を借りているだけ」の状態では無理です。 やり方を間違えると、僕みたいに時間を無駄にします。

その前に:あなたが「バーチャルオフィスで」にこだわる理由は何ですか?
本題に入る前に、ひとつ確認させてください。
あなたがバーチャルオフィスの住所で車庫証明を取りたい理由は、次のどれかではありませんか?
- 「会社の車だから、本店所在地で登録しないと経費にならない」と思っている
- 「品川ナンバー」「港区の住所」など、バーチャルオフィスのエリアにこだわりがある
- 自宅が賃貸で法人登記できないから、仕方なくバーチャルオフィスを使っている
もし①が理由なら、実は誤解です。
税務上、車が経費になるかどうかは「登録住所がどこか」ではなく、「事業のために使っている実態があるか」で判断されます。法人名義で購入して、事業用に使っている記録があれば、使用の本拠が自宅でも問題なく経費計上できます。
つまり、「経費にしたいから」という理由だけなら、無理にバーチャルオフィスで車庫証明を取る必要はありません。自宅を使用の本拠にするほうがずっと簡単です(これについては記事の後半で詳しく触れます)。
ただ、僕の場合は「事業の拠点として都内の住所を使いたい」という理由があったので、バーチャルオフィスでの取得にこだわりました。同じ状況の方は、このまま読み進めてください。
最初の申請、あっさり却下された日のこと
バーチャルオフィスを契約して、近くの月極駐車場も見つけて、書類も揃えた。「これで準備万端だ」と思って、管轄の警察署に向かいました。
受付で申請書を出すと、担当の方がパラパラとめくりながら眉をひそめました。
「この住所、バーチャルオフィスですよね?」
ドキッとしました。なんで分かったんだろう、と思いながら「はい、法人登記もしてますし、郵便物もそちらに届くようにしてます」と答えました。
でも、質問は続きました。
「ここで毎日仕事してるんですか? 事業の活動実態はどこにあるんですか? 電話は? 来客があったらどうするんですか?」
何も答えられませんでした。
僕が契約していたのは月額2,000円くらいの格安バーチャルオフィスで、要するに「住所を借りているだけ」の状態。そこで仕事をするわけでもないし、会議室があるわけでもない。固定電話もなければ、デスクもない。
「この状態では『使用の本拠』とは認められません」
そう言われて、書類は受け取ってもらえませんでした。

帰り道、自分に腹が立った
警察署を出て、駅まで歩きながら、ずっと考えていました。
「なんで事前にちゃんと調べなかったんだろう」
ネットには「法人登記できればOK」みたいな情報もあったし、それを鵜呑みにした自分がバカだったとしか言いようがない。電車の中でスマホを見る気にもなれず、ただぼんやり窓の外を見ていました。
後日、知り合いに「車庫証明で却下された」と話したら、「え、それ契約する前に調べなかったの?」と言われて、また凹みました。正論なんですけどね。
なぜ却下されたのか、調べて分かった3つのこと
悔しかったので、法律や成功事例を調べ直しました。「保管場所法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)」という法律の条文も読みました。そこで分かったのは、自分の認識がそもそも間違っていたということでした。

1. 警察が見ているのは「住所」ではなく「活動の実態」
車庫証明を取るには、車を置く場所(保管場所)が「使用の本拠の位置」から直線距離で2km以内にある必要があります。
ここで重要なのは、「使用の本拠」というのは単に郵便物が届く住所ではないということ。警察は以下のようなポイントをチェックして、「そこで本当に人が活動しているか」を見ています。
- 実際にそこで業務を行っているか?
- 公共料金(電気・水道)の使用実績はあるか?
- 郵便物を受け取るだけでなく、開封して処理する場所か?
- 固定電話やデスクなどの設備があるか?
僕が契約していたバーチャルオフィスは、正直なところ「ただのポスト」でした。事業の実態なんて、そこには何もなかったんです。警察の目から見れば「実体がない=使用の本拠として認められない」となるのは当然でした。
2. 「法人登記OK」は最低条件であって、それだけでは足りない
「法人登記可能」「郵便物転送あり」
バーチャルオフィスの広告でよく見るこれらの文言は、あくまでサービスの機能を説明しているだけ。これだけで事業実態が証明できるわけではありません。
警察の担当者が知りたいのは、「そこでどうやって仕事をするのか」という具体的なイメージです。電話はどう受けるのか、来客があったらどうするのか、書類はどこに保管するのか。こういった質問に答えられないと厳しい。
3. 「シェアオフィス」や「レンタルオフィス」なら可能性がある
似たような言葉ですが、「シェアオフィス」や「レンタルオフィス」で個室を持っていたり、専用のデスクがあって実際にそこで仕事をしている場合は、「使用の本拠」として認められる可能性があります。
つまり、「バーチャルオフィス」という名前でも、会議室やコワーキングスペースが併設されていて、そこで実際に活動できるなら、道は開けるということです。
【重要】絶対にやってはいけない「車庫飛ばし」
調べている中で知ったのですが、実態のない住所で無理やり申請を通そうとすると「車庫飛ばし」という犯罪になる可能性があります。公正証書原本不実記載等罪という、れっきとした刑事罰の対象です。
罰金だけでなく前科がつく可能性もあると知って、「ちゃんとやらないとマズいな」と背筋が伸びました。
2回目の申請で通すためにやった5つのこと
最初の失敗を踏まえて、以下の準備をして再申請しました。結果、今度は受理されました。
手順1:会議室付きのバーチャルオフィスに契約し直した
格安オフィスは解約して、以下の条件を満たすところを新たに探しました。
- 会議室やコワーキングスペースが併設されている(これが最重要)
- 固定電話番号の転送サービスがある
- 公式サイトに「車庫証明取得実績あり」と書いてある
正直、月額費用は3倍くらいになりました。最初からこっちにしておけばよかったと思いましたが、後の祭りです。
「費用を抑えたいのに、結局高いオフィスに契約し直すことになるのか」という矛盾は感じました。でも、最初の格安オフィスで失った時間と労力を考えると、最初から「車庫証明が取れる条件」で選ぶべきだったと痛感しています。
手順2:事業実態を示す書類をまとめた
申請書とは別に、以下の資料をファイルにまとめて持っていきました。
- バーチャルオフィスの契約書(会議室利用が明記されているもの)
- 事業用のウェブサイトをプリントアウトしたもの(住所を記載)
- 名刺(バーチャルオフィスの住所と固定電話番号を記載)
- 事業内容を説明する簡単な資料(A4で1枚)
- 消印付きの郵便物(届いたものを転送してもらった)
「ここまで必要なのか」と思いましたが、結果的にはこれが効きました。
手順3:駐車場の契約書に一文を追加してもらった
月極駐車場のオーナーさんにお願いして、契約書に「事業用車両の保管場所として使用することを承諾する」という一文を入れてもらいました。
これがないと、個人利用なのか事業用なのかが曖昧になります。
手順4:申請前に警察署へ電話で事前相談した
いきなり窓口に行くのではなく、事前に電話をしました。
「〇〇という状況で車庫証明を申請したいのですが、注意点を教えていただけますか」
こう聞くと、その警察署が重視しているポイントを事前に教えてもらえます。担当者によって見るところが微妙に違うので、これは本当にやっておいてよかったです。
手順5:聞かれそうな質問への回答を準備した
前回の失敗があるので、想定問答を作っていきました。
Q. なぜこの場所を事業所に?
→「デリバリー事業なので都心へのアクセスを重視しました。物理的なオフィスは不要ですが、打ち合わせには併設の会議室を使います」
Q. 普段はどこで仕事を?
→「配送が主な業務ですが、事務作業は自宅やこちらのコワーキングスペースで行います」
Q. 電話や来客はどう対応する?
→「固定電話番号を契約していて、転送で受けています。来客があれば会議室で対応します」
質問に詰まらずに答えられると、印象はだいぶ違う気がしました。
バーチャルオフィスを選ぶ時に見るべきポイント
僕の失敗と成功を踏まえて、車庫証明を目的にバーチャルオフィスを選ぶなら、以下の点は確認したほうがいいです。
| 項目 | 失敗した時の契約内容 | 成功した時の契約内容 |
|---|---|---|
| 物理スペース | なし(住所のみ) | 会議室・コワーキングあり |
| 電話サービス | なし | 固定電話番号の転送あり |
| 受付対応 | 不在 | スタッフ常駐 |
| 車庫証明の実績 | 不明 | 公式サイトに明記 |
| 月額料金 | 約2,000円 | 約6,000円 |
安さだけで選ぶと、僕みたいに時間を無駄にする可能性があります。
実は、もっと賢い選択肢がある:「使い分け」という発想
ここまで「バーチャルオフィスで車庫証明を取る方法」を書いてきましたが、正直に言うと、この方法はコストも手間もかかります。
会議室付きのオフィスに契約し直して、書類を揃えて、事前相談して…。僕はやり切りましたが、振り返ると「そこまでする必要があったのか?」とも思います。
調べていく中で気づいたのは、「車庫証明」と「法人登記の住所」は、別々に考えたほうが合理的だということでした。
車は「自宅」、登記は「コスパ重視のバーチャルオフィス」が正解かもしれない
冷静に考えると、こういう使い分けが一番シンプルです。
| 目的 | 最適な選択 | コスト |
|---|---|---|
| 車庫証明・保管場所 | 自宅(または自宅近くの月極) | 0円〜数千円 |
| 法人登記・対外的な住所 | コスパの良いバーチャルオフィス | 月額1,000円〜 |
こうすれば、車の維持費を経費にしつつ、都心の住所でビジネスができます。車庫証明のためだけに月額6,000円以上のオフィスを借りる必要はありません。
「車庫証明は取れなくても、ビジネスの信用は確保したい」という人へ
車庫証明が取れないことで不安になるのは、「バーチャルオフィスって信用されないんじゃないか」という心理があるからだと思います。
でも実際のところ、車庫証明が取れるかどうかと、ビジネスの信用は別の話です。
大事なのは、銀行口座が開設できるか、取引先に信頼される住所か、郵便物がちゃんと届くかといった、日々の事業運営に直結する部分。
僕が最初に契約した格安オフィスは、この辺りも不安でした。スタッフ不在で郵便物のトラブルがあったり、銀行口座開設で苦労したという話も聞きます。
僕が今から選び直すなら、こう考える
もし僕が今からバーチャルオフィスを選び直すなら、「車庫証明のためのオフィス」ではなく、「信用と実用性で選ぶオフィス」にします。
車庫証明は自宅で取る。そのぶん浮いた固定費で、スタッフ常駐で郵便物の対応がしっかりしていて、銀行口座開設のサポートがあるオフィスを選ぶ。この組み合わせが一番賢いと、今は思っています。
ちなみに、この条件で探すと「レゾナンス」というバーチャルオフィスが出てきます。
月額990円からと格安でありながら、スタッフ常駐で郵便物のトラブルが少なく、銀行口座開設の紹介制度もあるとのこと。「車庫証明は自宅で取るけど、法人登記の住所はちゃんとしたところにしたい」という人には、選択肢として検討する価値はあると思います。

よくある質問
Q1. どんな業種でもこの方法は使えますか?
デリバリー、運送、建設など、事業用車両が必要な業種では有効です。ただし、古物商や士業など許認可が必要な業種では、事務所の要件が別途あるので、そちらも確認してください。
Q2. 却下されたら、もう申請できないんですか?
いいえ。なぜダメだったかを確認して、不備を直せば再申請できます。僕も1回目は却下されましたが、2回目で通りました。
Q3. バーチャルオフィスで車庫証明を取るのと、自宅で取るの、どっちがいいですか?
目的によります。「とにかく簡単に車庫証明を取りたい」なら自宅のほうが楽です。「事業の拠点として都内の住所を使いたい」という明確な理由があるなら、会議室付きのオフィスで取得を目指す価値はあります。ただ、コストと手間を考えると、「車庫証明は自宅、登記はバーチャルオフィス」という使い分けが一番合理的だと、僕は思います。
Q4. この方法で100%通りますか?
正直、保証はできません。警察署や担当者によって判断基準が違う部分もあります。ただ、事前相談で確認しながら進めれば、成功確率はかなり上がると思います。
Q5. 自宅が賃貸マンションで「事業利用不可」でも大丈夫ですか?
「事業用の車の保管場所として使いたい」という申請であれば、認められるケースが多いです。「事務所として使う」わけではないので。念のため、管理会社や大家さんに「社用車を置きたいのですが」と事前確認しておくと安心です。
Q6. 自宅で車庫証明を取ったら、経費にできなくなりませんか?
いいえ、大丈夫です。税務上、車が経費になるかどうかは「登録住所がどこか」ではなく、「事業のために使っている実態があるか」で判断されます。法人名義で購入して、事業用に使っている記録(運行記録など)があれば、使用の本拠が自宅でも問題なく経費計上できます。
最後に:「見栄」より「実利」を取る起業家のほうがカッコいい
振り返ると、最初の失敗は「調べたつもり」で動いてしまったことと、「バーチャルオフィスで全部やりたい」というこだわりが原因でした。
品川ナンバーが欲しい、都心の住所で全部揃えたい、という気持ちはわかります。僕もそうでした。
でも、そのために余計なコストや手間をかけたり、最悪「車庫飛ばし」のリスクを負うのは、冷静に考えると割に合いません。
車庫証明は自宅で確実に取る。法人登記の住所は、信頼できるバーチャルオフィスで格安に確保する。 この使い分けができる起業家のほうが、僕は賢いと思います。
まずは、管轄の警察署に電話して「事前相談をしたい」と伝えてみてください。それだけで、何を準備すればいいかがはっきりします。
僕も最初は門前払いでしたが、やり方を変えたら道が開けました。あなたも大丈夫です。